皆さんこんにちは。
石川県金沢市・野々市市・白山市の学習塾 東大セミナーの北川です。
今回は、「読書をするメリット」についてお話していきます。
目次
4.おわりに 活字を読むのが苦手な子どもでも、読書は楽しめる
「本を読みなさい」と、生まれてこのかた言われたことがないという人は、まあいないでしょう。これを読んでいるあなたが学生であれ社会人であれ、人生で一度は読書を勧められたことがあると思います。特に、子どもの頃というのは大体1人くらい周りに「妖怪読書しろ」がいたと思うのですが、これはどうしてなのでしょうか。
国は毎年「国語に関する世論調査」を行っており、その中で最近読書について取り上げられたのは平成30年度です。その結果[1]によると、おおよそ40%ほどの人が、人間が最も読書すべきなのは10代の頃だと思っているようです。
また、読書をすることの良いところについて、「新しい知識や情報を得られること」「豊かな言葉や表現を学べること」「感性が豊かになること」などが多数の支持を得ています。
もちろん、2つを回答した層に重なりがあるかどうかは、このデータからは分からないことです。ですが、「子どもに読書をさせる意図」について「若い頃から知識や感性、言葉のセンスを養ってほしいから」と捉えることはそう間違っていないと感じます。
しかし、そうはいっても子どもに対して「読書をすると知識がつくからやっときなさい」とか「読書をすると感性が身につくからやっときなさい」と言ったとて、それがきっかけで本を読み始めるような素直な子どもなんて、数えるほどしかいません。やるメリットを教わったからやる、という流れが成立するのであれば、「ダイエットをしたら痩せるぞ!」と言われただけでダイエットに取り組めるようになるはずです。しかし、現実に私や上司のお腹は引っ込んでいないわけでして……。
要するに、メリットを説明しても子どもは読書をするようにはなるとは考えにくい、ということです。ではどうすればいいのか。それは、子どもたちが普段興味を持って楽しそうにやっている色んなことにヒントがあります。
例えば、テレビゲーム。休日など、お子さんは放っておいたら何十時間とゲームをしていませんでしょうか?[2] それはどうしてかというと、つまるところゲームが楽しいということを理解しているからではないでしょうか。そうです、「ゲームは楽しいからやる」んです。
ということは、子どもに読書をさせようと思ったら、「読書は楽しいものである」ということを伝える必要があるのではないでしょうか。次項以降では、子どもに読書の楽しさを教えるうえで、ここは押さえておくと良いかも! という点について述べていきます。
[1]https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/r1393038_02.pdf
[2] かくいう私も休日は宿題をすれば遊び放題という家庭で育ったため、あまり強く糾弾はできませんが
本を読むことは、語彙力を増やす1つの方法と言えます。難解な小説や評論でなくとも、絵本やちょっと古い子供向け本でも、子どもたちが今までに聞いたことの無い言葉が入っているはずです。
教育学者の斉藤孝先生が、著書の「ガツンと一発」シリーズの『必殺! 読書術』の巻でお書きになっていたことだったと思いますが、子どもの頃の先生は、夏目漱石の小説に出てくる「すこぶる」という単語の語感が好きだったそうです。「すこぶる」が出てくるたびに喜んでいたというエピソードがあるそうですが、未知を楽しめる子どもにとっても、まさにこれと似たような体験があることと思います。
必ずしも意味を調べる必要も、すべての知らない言葉に興味を持つ必要もありませんが、子どもたちにとって何かに触れる言葉が1つでも見つかれば、それを楽しみに読書を続けることはできるのではないでしょうか。ひいてはそれが、知識を増やすことに繋がったら「良い」のかもしれませんが、そうならなくても、読書をすることを楽しむことには繋がることでしょう。
本は「不便」なメディアです。TVや動画サイトは、音声や文字だけでは伝わりきらないところを映像で補足してくれますから、情報量は多いです。比べて、本というモノは基本的に文字ベースで図画を挟むわけです。どうしても伝えられる情報量と伝える速度は動画系のものには劣ります。
しかし、本(とりわけ小説)にはその不便さが生み出す独特の楽しみがあるのもまた事実です。文字だけで書かれた世界には、想像の余地が入り込みます。書かれていることを基に、頭の中で情景を組み立てなければ、先を読むことは叶いません。そしてその想像は人によって千差万別です。また、一度想像した事柄も、二度読むことでより深い想像ができたり、違った考え方ができるようになったりします[3]。登場人物たちの、書かれていなかった気持ちを考えることもできるわけです。
そして、想像して自分のものとなった世界は、誰にも侵すことはできません。動画系のものとは違う、「唯一無二の体験」ができるところも読書の素晴らしい点ではないでしょうか。
[3] 余談ですが、塾の作文課題で「読書の良いところを挙げなさい」と出題したところ、「読むたびに違った想像ができる」と回答してくれた小学生がいました。実際にこう思っている子どももいる、という例になれば幸いです。
さて、ここまで読書の楽しさを2点挙げさせていただきました。
それでも、やっぱり活字が「読めない」という子はいます。単なる苦手だけではなく、ある種の特殊性を持っている場合[4]もありますから、一概に「本を読むのは楽しいから読め」と言ってどうにかなるものでもありません。
そこでお勧めしたいのが、朗読という手法です。読めなくても、聞くことができるという人は案外いるもので、最近の本には公式でプロの声優による朗読音声がついているものもあります。通販サイトだと、朗読音声が単体で売っている場合もありますね。また、簡単な本なら保護者の方が読み聞かせという形を取るのも良いでしょう。
何も活字を読むことだけが本を読むことではありません。その子にあった形で本を楽しむことができたなら、それがきっと一番だと私は思います。
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