皆さんこんにちは。東大セミナーの中川です。
今回は、「新学習指導要領で中学の学習内容はどう変わる?!~英語編+α~」についてお伝えします。
全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めています。これを「学習指導要領」といいます。
学校は、社会と切り離された存在ではなく、社会の中にあります。グローバル化や急速な情報化、技術革新など、社会の変化を見据えて、子供たちがこれから生きていくために必要な資質や能力について見直しを行っていくからです。単純に10年前と今現在とでは求められる力が変化しているので、学習する上で重要なものも変化していくということです。
ではこれから新学習指導要領で中学生の学びはどう変わるのか、解説いたします。
英語では、4技能が重要になってくるとよく言います。4技能とは「聞く」「話す」「読む」「書く」のことです。今回の改定で、この4技能プラス「話す(やり取り)」の領域が追加されます。この領域では、「関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて即興で伝え合うこと ができるようにすることを目標とする。」と記載されております。実際に暗記した文章を話すのではなく、相手の発話にごく自然に応じて意見を述べたりして、互いに協力して対話を継続・発展させていくことになります。簡単に言うと、使える英語を学んでいくということです。
令和3年度にセンター試験から共通テストに変更されました。共通テストの英語の問題に関してはこれまでのセンター試験と違い、発音・アクセントや文法問題はありません。文章を読み取って答える問題のみになりました。その結果、発音・アクセントや文法を学ぼうとしない生徒が増えたのではないかと思います。一見使える英語とこれらのことは無関係に見えますが、ある大学では大学入学後のTOEICのスコアがセンター試験世代の生徒と比べ平均点が下がったという現象が起こりました。ただ日常生活で会話をするだけであれば問題ないかもしれませんが「使える英語」の定義を「お互いに協力して対話を継続・発展させる」とした場合、基本的な文法や発音・アクセントは必要になってくると思います。これまでの英語教育とは違い、即興で伝え合う力をつけるために英語の学習内容はこれまでよりも前倒しになります。その結果、小学校での年間での総授業時間14時間増えます。小学生での英語教科化により、今まで小学5、6年生でやっていた外国語活動を小学3、4年生で行い、小学5、6年生で教科としての英語を行っていくからです。覚えなければならない単語もこれまでは0でしたが、600~700語になります。これにより中学校では、1200語⇒1600~1800語になります。
また、中学校の新学習指導要領の目標として「授業は外国語で行うことを基本とする」があります。
学習内容に関しても「現在完了進行形」「原形不定詞」「仮定法」「直接目的語に節を取る第4文型」が追加されます。これまでは高校で学習する範囲でした。
授業の内容に関しても、生徒が積極的に参加する方式となります。
また、授業内容が変わるだけではなく高校入試も変化していきます。
実際に東京都では、2023年に高校入学試験を実施する生徒からスピーキングテストを実施すると発表しております。先ほど、小学校での年間での総授業時間が14時間増えることをお伝えしました。中学校での英語教育がこれだけ変化するにもかかわらず、年間の総授業時間は変化しません。限られた時間の中で今までよりも多くの知識を身につけていかなくてはなりません。単語数が増加し、学習する文法も多くなります。我々の中学時代とは大きく変わります。
これまで述べた内容を細かく把握している人は教育関係者以外ではまだ少ないのではないかと思います。お子様から質問を受けたときに「自分の時はこんなの習っていなかったからやらなくてもいいのでは?」とか「こんな単語出ないから覚えなくてもいいよ」などもしかするとこれから出てくるかもしれません。
しかし!今の生徒たちには必要なものになってきます。
今回お伝えした新学習指導要領の内容ですが、これは氷山の一角にすぎません。例えば、数学です。これまで高校生で理系を選択した人しか学ばなかった内容も、これからは文系の人も学習する範囲になります。詳しくは次回のブログでお伝えします。学習内容は10年前と比べかなり変化しております。
ただ、子供に「大変になるよ!!」と伝えても「ふぅ~ん」くらいだと思います。子供達には、「なぜ今までと教育が変わっていくのか」を具体的に伝えていかなくてはいけないと感じております。
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