皆さんこんにちは。
石川県金沢市・白山市・野々市市の学習塾、東大セミナーの篠原です。
近年の大学入試では、親世代の入試に比べて総合型選抜(旧AO入試)が利用されています。
こういった流れのなかで、総合型選抜に関心を頂く保護者・受験生も多いのではないでしょうか。
今回は、総合型選抜の利用率や入試の特徴について詳しくご紹介します。
目次
1.令和4年の大学入学者のうち、約半数が総合型選抜もしくは学校推薦型選抜を利用している!
6.それぞれの入試形式の特徴を踏まえて、自分に合った入試形式を選ぼう!
文部科学省が2023年3月に公表した「大学入学者選抜の実態の把握および分析等に関する調査研究」によると、令和4年度の大学入学者数のうち、一般選抜で入学した人が49.7%、総合型選抜で入学した人が13.6%、学校推薦型選抜で入学した人が36.7%であるとのことでした。
文部科学省「大学入学者選抜の実態の把握および分析等に関する調査研究」より引用
ひと昔前では「大学入試といえば一般入試」というイメージがありましたが、近年の大学入試では総合型選抜や学校型選抜も活用され、大学入学者の半数がどちらかを利用している状況なのです。
ただし、国公立大学では、一般入試利用の入学者の割合が高く、国立大学では8割以上が一般入試を経て入学しています。
また、総合型選抜よりも学校推薦型選抜の方が、国公立大学・私立大学を問わず利用傾向が高いことが伺えるでしょう。
ここからは、総合型選抜の特徴について解説していきます。
総合型選抜は、学力試験だけでなく、面接や書類審査など複数の評価方法を組み合わせて実施する入試形式です。
「総合型選抜」という入試制度は2021年度から始まり、それ以前は「AO入試」と呼ばれていました。
総合型選抜の前身である「AO入試」は各大学の「Admission Office(アドミッション・オフィス)=入学受け入れ方針」と合致する、目的意識の高い生徒を選抜するために実施されていました。
そのため、AO入試では学力は評価されず、部活動の成績や志望理由書の内容、面接が評価対象の中心であるケースも多くありました。
しかし、文部科学省が学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・協働性」を全ての入試方式で偏りなく、多面的・総合的に評価する方針を打ち出しました。
これにより、2021年度以降の「総合型選抜」では、受験生の学力も評定平均・調査書などで評価されるようになりました。
各大学の総合型選抜の具体的な内容は、個別に調べる必要があります。
大まかには、志望理由書や推薦書などの書面、面接・討論、高校等における学習成果が評価される傾向にあります。
文部科学省「大学入学者選抜の実態の把握および分析等に関する調査研究」より引用
また、文部科学省の前回調査(2020年)に比べると、「書面」、 「面接・討論等」、「高校等における学習成果」を課す大学数が増加していることがわかります。
文部科学省「大学入学者選抜の実態の把握および分析等に関する調査研究」より引用
ここからは、更に具体的に総合型選抜の具体的事例を見ていきましょう。
他大学との併願:可
募集定員:7名
出願資格:高校を卒業した人及び卒業見込みの人、高卒認定試験に合格もしくは合格見込みの人
出願期間(令和5年度入試の場合):令和4年9月12日(月)から令和4年9月14日(水)17時まで
提出書類:志願票・受験票・ 写真票、自己推薦書、学びの履歴書、調査書
試験内容:
①課題論述(資料の理解力、論理構成力、科学・統計リテラシーを問う課題が課されます。課題の一部に英文があります。)
②集団面接及び個別面接(個別面接では、提出された自己推薦書及び学びの履歴書に関する質問があります。)
③共通テスト(5教科7科目)
選抜方法:提出された書類並びに課題論述及び面接により,総合判定のうえ合格内定者が決定され、共通テストの得点率が70%以上の人が最終合格者となります。
※上記は令和5年度の千葉大学総合型選抜の募集要項をもとに、わかりやすく記載したものです。受験生の方は必ず最新年度の募集要項のご確認をお願いします。
参考:募集要項等|国立大学法人 千葉大学 大学院国際学術研究院・国際教養学部
学部入試案内|入試案内|国立大学法人 千葉大学|Chiba University
千葉大学国際教養学部国際教養学科の総合型選抜では、課題論述、集団面接及び個別面接で合格内定となった場合でも、共通テストの得点率が70%以下(5教科7科目630点以下)の場合は、合格が確定しないことになります。
この場合、総合型選抜が終わった後も気を引き締めて共通テスト対策に取り組む必要があるでしょう。
他大学との併願:不可
募集定員:12名
出願資格:高校を卒業した人及び卒業見込みの人、高卒認定試験に合格もしくは合格見込みの人
出願期間(令和5年度入試の場合):令和4年10月1日から10月7日(水)17時出願書類必着
提出書類: 写真、自己推薦書、調査書
試験内容:
①小論文(最初に講義を受講し、その後、講義の内容について小論文を作成するスタイル。基礎学力、論理力、表現力などを見る問題が出題され、点数化されて評価されます。)
)
②面接(学問に対する関心、自分の言葉で表現する力、課題解決のための主体性、協働性が見られます。)
選抜方法:「自己推薦書」「調査書」の4段階評価(ABCD) と小論文300点、面接300点の配点で総合的に判定されます。
※上記は令和5年度の広島大学「光り輝き入試(総合型選抜I,Ⅱ)」の募集要項をもとに、まとめたものです。受験生の方は必ず最新年度の募集要項のご確認をお願いします。
参考:【実施済】令和5年度 学生募集要項 | 広島大学
広島大学では「光り輝き入試」という名称で総合型選抜が実施されており、総合科学部総合学科の場合は共通テストの得点が評価されません。
ただし、文学部、教育学部の一部コース、医学部、歯学部、薬学部などでは共通テストが必要です。
このように、同じ大学でも共通テストが課されたり、課されなかったりする場合があるので、総合型選抜の利用を検討する際は、興味がある大学の応募要項を早い段階でよく読み込んでおくと良いでしょう。
総合型選抜では、各大学の学部・学科によって試験内容が異なり、面接、小論文、プレゼンテーション、レポートなど多岐に渡ります。
これまでは一般選抜を経て大学に入学する人が中心でした。
そのため、大半の受験生は模試の結果に一喜一憂したり、ひたすら参考書を読み込んで入試問題の類題を解いたりしていました。
しかし、総合型選抜の試験内容である、面接、小論文、プレゼンテーション、レポートなどは知識・判断力だけではなく、自己表現する力が求められます。
総合型選抜という受験方式を経験することで、自己表現の力を高めることもできるのです。
参考書を読んだり問題を解いたりするよりも、自分で調べたことや考えたことをまとめること、人に何かを伝えることの方が向いている人にはおススメの試験方式です。
多くの大学では総合型選抜の試験時期を9月~11月に設定しています。
もし総合型選抜に落ちてしまったとしても、その後一般選抜で受け直すことも可能です。
少しでもその大学に受かる勝算があるのであれば、試験を受ける回数が多いほど受かるチャンスも多いと思います。
金沢大学の令和5年度総合型選抜(KUGS特別入試)の競争倍率は1.5倍でした(「令和5年度入学者選抜試験に関する情報の提供について」より)。
金沢大学の一般選抜入試における競争倍率は2.0倍です。
このように、一般入試よりも総合型選抜の方が倍率が低いケースもあります。
大学の学部ごとに偏差値が出ているので、大まかに「これぐらいの学力層の受験生が求められているんだろうな」ということは判断できますが、模試のように判定が出ることはありません。
その大学・学部の入試に精通している塾や学校の先生にアドバイスをもらい受験対策を進めることが良いでしょう。
リスク回避のために、総合型選抜だけではなく、一般選抜の受験も検討する人もいると思います。
それはつまり、模試の結果がはかばかしくない状況であったとしても、目の前の小論文やレポートの対策も同時進行で進めなければならないということです。
「この期間からこの期間は総合型選抜対策をしよう」と計画を立てて、割り切って進められる人が向いていると思います。
金沢大学の総合型選抜の一つである、「KUGS特別入試」では以下のように試験が進みました(令和5年度)。
(1)金沢大学の「高大接続プログラムポータルサイト」で利用者登録
(2)金沢大学が指定するプログラムを、受験する年度の8月31日までに受講
(3)「大学での学び」「高校での学び」の2種類のレポートを提出
(4)レポートが合格であれば、出願資格を得る
(5)小論文、共通テスト、口述試験などを経て合否判定
※令和5年度の金沢大学「KUGS特別入試」の情報をもとに記載しています。
事前に大学が課すプログラムを受講し、レポート提出で合格しなければ出願資格が得られないため、長期戦を覚悟する必要があるでしょう。
ここまで、総合型選抜について紹介させていただきました。
調べてみて思ったのですが、総合型選抜は、各大学・学部によって本当に様々だと思いました。
これまでの一般選抜であれば、共通テストでこれぐらい、2次試験でこれぐらいの点数を取れれば受かるだろう、という目安がありますよね。
しかし、総合型選抜はそういった目安がありません。
これまでの「受験の王道」であった一般選抜に注力して試験対策を進める方が、計画や見通しを立てやすいので、その方が自分に合っている、という人もいると思います。
一般選抜なら志望校もギリギリまで吟味することができます。
逆に、自分がその大学で学びたいことや、目的意識が明確な人にとっては総合型選抜にチャレンジする意義が大いにあると思いました。
受験生によってそれぞれ取りたい受験戦略も異なると思います。
大切なのは、自分に合った入試方式を選ぶことだと思いました。
塾や学校の先生は、こういった入試情報を豊富に持っています。
是非、興味のある方は塾や学校の先生も頼りながら、情報を集めていきましょう。
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