皆さんこんにちは。東大セミナーの堀越です。
今回は金沢大学の入試形式についてお伝えします。
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我々東大セミナーが本拠地を構える石川県で、最大の国立大学が金沢大学です。偏差値としても北陸地区No.1で、県内の進学校ではここを目標に据える生徒も数多くいます。英語教育にも力を入れており、その国際性や教育充実度から、大学の教育力を基準とした「世界大学ランキング日本版(2021)」では国内第18位にランクインし、全国的にも注目の集まる大学と言えるでしょう。
金沢大学の特徴としては、ここ数年、新規学部の設立や学部の再編が盛んに進められているということが挙げられます。2018年に理工学域の学類を再編(3学類を廃止し、4学類を新設)したほか、2021年には医薬保健学域に「医薬科学類」を新設。更に同年、「文理融合の知識を基に社会変革をリードする」ことをコンセプトとして、金沢大学第4の学域となる「融合学域」が設置されました。融合学域に属するのは現在「先導学類」のみですが、2022年度には「観光デザイン学類(仮称)」の設置が構想されています。先般の2021年度入試では新設の融合学域・先導学類への人気が高く、倍率は3.5倍を超えました。他の学類の倍率が平均して2倍弱であることを考えると、かなり競争率の高い入試だったと言えるでしょう。前述の観光デザイン学類も、同様に高倍率になることが予想されます。
そんな金沢大学ですが、このように新規学部の設立や学部再編を進める一方で、入試科目や配点を変更したり、新たな入試制度を取り入れたりと、入試改革に力を入れていることも大きな特徴の一つです。今回は年々変化している金沢大学の入試制度について、2021年時点での最新情報をお伝えします。
金沢大学は、以下の入試制度を実施しています。
※その他、「在外留学生推薦入試」、「社会人選抜」、「帰国生徒選抜」、「国際バカロレア入試」、「私費外国人留学生入試」がありますが、本記事では割愛してあります。
…こんなに!?と思われる方も多いかもしれません。ほんの数年前まで、金沢大学の入試はほぼ学力検査の一般入試のみ、推薦入試などそれ以外の入学はごく少数……という状況でしたが、近年は上記のように入試制度が充実しています。入試制度によってそれぞれ試される能力や必要な準備が違いますから、それぞれの入試の特徴を知って、適切に対策していきたいですね。ではこれから、それぞれの入試制度を説明していきます。
合格者の中で一番多いのは、やはり学科試験を中心とした一般入試です。その他多くの国公立大学と同じく、全国の受験生が同じ試験を受ける「大学入学共通テスト(マーク式)」と、金沢大学独自の試験である「二次試験(記述式)」の合計点で合否を判定します。大学入試の共通テストや二次試験に関するより詳しい説明はこちらのページも併せてご覧ください。
金沢大学の一般選抜における最近の変更点としては、2021年度入試から共通テストと二次試験の配点比率が逆転したことです。これまでの金沢大学の一般入試は、特に文系学類で共通テスト(旧センター試験)の配点が高く、二次試験での逆転が難しい大学でした。しかし2021年度入試からはほぼ全ての学類で二次試験の配点が軒並み上がり、二次試験重視の大学となりました。一般的に、マーク式で解答しやすい共通テストが重視されるより、記述式で解答が難しい二次試験が重視される大学の方が入試難易度は高いと言われています。実際、東京大学や京都大学をはじめ、難関大学とされる国公立大学は押し並べて二次試験の配点が共通テストよりも高く設定されています。それゆえに、金沢大学の一般選抜は数年前と比べて、より難易度が上がったと言えるでしょう。
また、見逃せない変更点として、2021年度入試からの「後期日程の廃止」が挙がります。通常の国公立大学入試では前期日程と後期日程(一部大学では、加えて中期日程)と、複数回の挑戦権があります。しかし金沢大学は2021年度入試から、一般選抜では前期日程のみ募集するという形式に変更しました。その背景には、「金沢大学こそが第一志望だ、という学生への門戸を広くする」という大学の意図が伺えます。実際、これまで後期日程に割り当てられていた募集定員が前期日程に回ったことで、金沢大学を第一志望とする前期出願者にとっては合格のチャンスが広がったと捉えることができます。しかしながら、「前期試験はより上位の難関大学を受験して、落ちてしまったら後期で金沢大学を受験しよう」という、金沢大学を併願校として利用する戦略をとることは出来なくなりました。受験生によっては受験計画が大きく変わってしまうかもしれないので、必ず押さえておきたい情報です。
共通テストに関して言えば、英語の得点を外部検定試験でも代替可能という特徴もあります。具体的には、事前に取得した外部試験(英検やGTEC,TOEICなど)のスコアが一定以上であれば、共通テストの英語を8割~満点として扱うというものです。必要なスコアはそれ相応に高いもの(詳細は非公表)ですが、本来共通テスト対策として割かなければならない時間を他の科目や二次試験の勉強に充てられるというのは、大きなメリットと言えるでしょう。受験が近づけば近づくほど、その安心感は心理的にプラスに作用するはずです。本番の共通テストでより高得点を獲得できた場合はそちらの得点が優先されるため、外部検定試験のスコアは獲得しておいて損はありません。ただし、一部外部検定試験のスコアが活用できない学部もありますので、出願の際には注意が必要です。
その他、金沢大学の一般入試の特徴の一つに、「文系・理系一括入試」というものがあります。2018年度から後期日程で導入されたこの入試形式は、2021年度入試において後期日程が廃止されるのに伴い、前期日程の選択肢の一つとして加えられました。通常の入試では、出願の際には学部・学科――つまり、大学でどんなことを専門的に学ぶのかを決める必要があります。しかしこの一括入試制度では、出願時には自分の専門分野を限定せず、大学2年生に進級するタイミングで自分の所属する学類、専攻する分野を選ぶことができます。
このような選択肢ができたことにより、入学前からハッキリとやりたいことが決まっているのであれば各学類へ出願し、まだやりたいことがハッキリしていないという場合にはこの一括入試で出願する、ということが可能になりました。ただしこの一括入試ですが、前期日程に組み込まれた2021年度入試では文系一括が倍率5.46倍、理系一括で倍率4.12倍と、他学類を大幅に上回る高倍率でした。様々な分野に進める可能性のあるこの一括入試は、受験生からも非常に人気があります。それに伴って合格に必要な入試の得点も上がってきますから、一括入試での出願を考えている場合はそこも念頭に置くようにしましょう。
この他にも、2021年度入試では入試科目や配点など、様々な変更がありました。特定の社会問題に関する資料を読み取って、問題点や解決策を論述する「総合問題」が一部の学類で必答科目とされたり、これまで英語と国語のみで受験可能だった二次試験科目に数学が追加されたりと、事前の対策を大きく変える必要のある変更もあります。金沢大学に限ったことではありませんが、自分の志望大学の入試変更には常に目を光らせておきましょう。
KUGSとは”Kanazawa University Global Standard”の略称です。グローバル化が進む国際社会において、常に困難に立ち向かっていくために必要な能力・体力・人間力を備えた人材の育成を図るという金沢大学の理念を表しており、その理念に合致した人材を受け入れるための入試制度ということになります。
KUGS特別入試の特徴として、事前に金沢大学が実施する高大接続プログラムに参加し、提出したレポートで基準以上の評価を得る必要があります。プログラムには以下の三種類があります。
それぞれ様々な学問分野のテーマがあり、各自の興味関心に応じて受講することができます。ちなみに、ここで扱われる内容は本来大学入学後に初めて触れるような専門的なものも含みますから、出願に必要だという観点を抜きにしても、非常に価値のあるプログラムだと思います。まだ大学でやりたいことが決まっていないという高校1・2年生は、ぜひ一度参加してみてはいかがでしょうか?
注意点として、受験年度のプログラム受講は8月31日までのようです。KUGS特別入試での受験を考えている3年生は急いで応募しましょう。
KUGS特別入試では、プログラム参加後に課される課題レポートの他、「高校での学び」についてのレポートの提出が必要です。これら2種類のレポートに加えて、出願する学類・出願方式によって、共通テストの受験が必要な場合もありますので注意してください。
※KUGS特別入試受験の流れ
超然特別入試とは、数学・文学において優れた才能を持つ学生を受け入れることを目的とした入試制度です。
超然特別入試に出願するためには、金沢大学が主催するコンテスト「日本数学A-lympiad」「超然文学賞」で入賞する必要があります。「日本数学A-lympiad」は3~4人を1チームとして、現実社会に起こりうる問題について数学的な視点から解決策を見出すという、実践的な数学技能を試す試験のようです。問題文は英文で書かれているということなので、英文読解力も必要となります。「超然文学賞」には小説部門と短歌部門があり、それぞれ自作の作品で応募します。
出願資格を得た後は、学類ごとに口述試験(プレゼンテーション)や小論文試験で合否が決まります。2022年度入試より、医薬保健学域医学類は共通テストも評価対象とされることになりました。
一般選抜では共通テストを通じて5教科の総合力が試されますが、この超然特別入試は「数学・文学が得意だけどそれ以外に自信がない…」という人にはピッタリの形式かもしれません。ただし、この入試形式で出願できる学類は限定されており、更に募集人員も「若干名」と、かなり狭き門と言わざるを得ません。超然特別入試での出願を考えている場合は、そういったメリット・デメリットを踏まえて決断しましょう。
※超然特別入試受験の流れ
この入試形式は名前の通り、医薬保健学域の薬学類でのみ実施している入試形式です。これは上述してきたようなプログラムやコンテストへの参加は必要ありません。共通テストと小論文、口述試験で合否が決定します。2021年度の募集人員は10人でした。
この高大院接続入試は、出願要件として「金沢大学の大学院(博士課程)まで進学し、博士の学位を取得することを志していること」というものがあります。通常四年制大学では、4年間で大学の学士課程を修了し、大学を卒業します。しかしその後、大学院に進学し、より専門的な研究を続けることもできます。大学院は修士課程(2年間)、博士課程(4年間)と続いており、この入試形式はその博士課程までの10年間、金沢大学で薬学の研究をすることを条件としています。
入試は共通テストと小論文・口述試験でそれぞれ合否が出る2段階選考で、一般選抜のような記述式の学科試験はありません。記述式の解答が苦手な人は狙い目かもしれませんが、大学で10年間研究に取り組むというのは並大抵の熱意ではできません。入試形式の有利・不利よりも、薬学への強い関心と熱意、薬学の発展に携わるという大きな志があるかが大きな判断材料になるでしょう。
いかがでしたでしょうか?金沢大学は他の国公立大学と比べても、非常に特徴的な入試制度があるということが分かっていただけたかと思います。様々な入試制度があるということは、大学も様々な観点から受験生を評価したいということです。金沢大学の受験を考えている方は、ぜひ自分に最適な入試制度を見つけてもらいたいと思います。
また、2021年度に金沢大学の入試制度が大きく変わったように、各大学はより力のある学生に入学してもらうため、毎年多かれ少なかれ形式を変えています。数年前の情報では、すでに最新の入試制度をカバーできなくなっているかもしれません。
東大セミナーでは、こういった各大学の最新の入試情報を生徒や保護者の皆様へお届けいたします。高等部の東進衛星予備校部門では、現在無料体験講習も実施しています。気になった方、ぜひ一度ご相談ください。
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