随分前になるが正月に
歴史小説を読むのが恒例の時期があった。
特に宮城谷昌光氏の中国の歴史小説が好きだった。
好きな理由はやはり
何といってもスケールの大きさだ。
登場人物を通して中国人のものの考え方や
習俗や人間観がリアルに伝わってくるからだ。
何故か「学問は弱い人間がするものだ」という
勇猛果敢な登場人物の言葉をいまだに覚えている。
「重耳」だったか「孟嘗君」であったかは
さだかではないが。
今日では学問の有用性については
否定する人はそんなにいないであろう。
しかし古代の中国における武人にとっては
勇気と体力と度胸こそ必須であり、学問は
ひ弱な人間の生きる術ぐらいだったのであろうか。
だが何故この言葉が心に響いたのか
当時を振り返りながら考えると、学問によって
知識や見識が増えることは間違いないが、
それと同時に現実に対する適応力というか
逞しさに欠けてくるという危惧が脳裏をかすめる。
では体力に自信がなく勇気もさほど無い
私などの人間はどうしたら良いのであろうか。
脳科学の分野で新規探索遺伝子の発達した個体は
生存に有利との知見がある。
平たく言うとこの遺伝子が発達した人は
概ね好奇心が強く学びの意欲が強いということだ。
社会システムの進化が著しい今日にあって
学びはやはり生存に欠かせない姿勢である。
年齢を重ねるほど
好奇心や学ぶ意欲の減退を注意したい。
ここ数年、
東京の孫が正月に訪れ賑やかであったが、
今回はコロナ禍で見合わせることになった。
久しぶりに夫婦二人の
静かな正月になりそうである。
しばらく積読になっていた
書物でも取り出しゆっくり読もうか、
の心境である。
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