新型コロナ禍で社会の在り様も
大きく変化してきていると痛感する。
「ソーシャル・ディスタンス」という言葉も
日常化している一方、
人間間の距離感にも少しずつ変化の兆しが見える。
新型コロナが終息すると元に戻るのかというと
完全には戻らないのではないかと推測している。
私たちの生活様式において本当に必要なものと
そうでもないもの棚卸が多少とも行われ、
大袈裟かもしれないが
価値観の変化が生じていると思うからだ。
しかし教育界を見渡してみると、
大学の授業は8月末時点で
まだオンライン授業が中心で
学生のメンタル面でも心配な状況下にあるようだ。
人との触れ合いが少なく
孤独感や焦燥感に襲われ、
せっかく努力して大学に入ったのに、
といった感情を持つ学生もいるようだ。
学習塾業界に目を転じると、
今は大変厳しい時代に突入していると思う。
これまでの学習塾業界は
とにかく時代背景に恵まれていた。
1990年代初頭まで
いわゆる団塊の世代の子供を中心に
18歳人口は右肩上がりに増えていた。
東大セミナーは1986年創業であるが、
立ち上がりの難しい時期において恵まれていた。
まして同年から始まった
「バブル経済」と称される
未曽有の好景気も手伝って幸運であった。
他に大学進学率の上昇、それに合わせた
通塾率の上昇などで少子化の中にあっても
何とかやってこられたのがこの業界である。
そこは事業のイノベーションも
生産性も無縁の世界であった。
この業界ほど、大手も零細もやっていることに
そんなに相違がないという業界はない。
業界人なら知らない人がいない大手塾が
関東圏だけで
70教室閉鎖に追い込まれたニュースは
業界の構造的な問題を突き付けている。
とにかく個性の違う生徒一人ひとりの能力を
どう引き出し、伸ばしていくかが大事で、
知識を一方的に伝えるだけの塾は
間違いなく淘汰されていく。
この夏、東大セミナーでは
5日間の中3合宿をオンラインで行った。
家庭で参加した生徒もいれば、
塾に来て参加した生徒もいたが、
私たちが当初予想した以上の成果が上がった。
生徒の満足度、講師の達成感どれをとっても
予想を凌駕していた。
感動のあまり閉校式を終えた直後、
中心的に運営に当たった社員の目に
うっすら光るものが見えた。
価値観の多様化の中で私たち学習塾に
求められるもが多くなっていると感ずる。
そして、それに応えるだけの人間力が
私たち一人ひとりに問われている。
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