「イマジン」は1971年にジョン・レノンとオノ・ヨーコによって作られてから半世紀を経たが、いまだ現実はこの世界から程遠い。
同時多発テロ後暫くアメリカでこの曲は自粛されたようであるが、今も人々の心を揺さぶる名曲であることに変わりはない。
「想像してごらん」という言葉からはじまる世界はまさに究極の平和な社会で人類の最終的な到達点だと思わされる。
しかし現実とのギャップに暗澹たる気持ちになるのも事実だ。
もしかしたら作者が思い描いたこのような平和な社会に対して居心地の悪さを感ずる人たちがいるのかもしれない。
個人差はあるがレイシズム(国や民族に対する偏見)は根深く人間のこころに忍び込む。
それは一部「ネトウヨ」と称される人たちの言動に見られるがごとくである。
いや、時として思わぬところで自らの思考の中にも侵入する。
歌詞の中で「宗教も国もない世界」という言葉がある。
たぶん、この言葉はとても受け入れられないという人もいると思う。
しかし、一独裁者の領土的野心から隣国に侵略し、それを多数の国民が支持する現実があるということ、またその侵略に大義名分を与える国家的宗教があることなどを考えると作者の気持ちもわからなくはない。
頭から国のアイデンティティを否定したり、愛や善や美を説く宗教を否定するものでないが偏狭性や独善性に落ちることのないように気をつけなければいけない。
そういうことをこの「イマジン」は教えてくれる。
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