9月27日に羽咋市の5つの小学校を訪問し、1年から6年までの授業を見学する機会に恵まれた。1つの学校を1時間ほどで回る強行スケジュールではあったがこれまでの自身の認識を変える多くのものを得た。訪問のわけは篤志家から羽咋市の教育に多額の寄付がありそのプロジェクト推進に関わるご縁を頂いたからである。
率直に言ってとてもエキサイティングな時間であった。私のこれまでの学校教育の固定観念が見事にガラガラと音を成して崩れ行くのを感じた。学校教育は所詮お役所仕事、親方日の丸で保守的でぬるま湯ではないか。それに対して塾は何の保証もない自由競争にさらされていて保護者、生徒のニーズに応えているという自負があった。またそこに塾の存在価値を認めていた。
しかしながら、各先生方の授業にかける情熱、十分な教材研究、教室の掲示物の質の高さ、アイコンタクト、ボディランゲージなど枚挙にいとまがないほどの現状を見て衝撃を受けたのである。ICT教育も想像していた以上に浸透し、使いこなせている風であった。個々的にはまだまだ課題はあるかもしれないが、それは単に時間の問題であり「習うよりは慣れろ」が当てはまるに過ぎない。
それにしても学校の先生方は大変である。生徒の少ないある学校では2つの学年を同時に教える複式のやり方が行われていた。教室入り口を境に隣の通路に当たるところが広めに設計してあり、そこに他学年の生徒の10ばかりの机が配置してあり、女性の先生が行ったりきたりして算数を教えていた。自治体が契約した補助的指導を行うスタッフを配置しているクラスもあったが直接教えることはしない。タブレットを閉じたままにしている生徒や教科書を開かない生徒、ノートをとらない生徒に対してやさしく声をかけたり、促したりする。個を大切にする教育の一つの仕組みであり表現なのであろう。
どの小学校も30分ほどの教室見学のあと、校長、教頭を交え感想など意見を交換する時間があった。押しなべて皆さんは謙虚で前向きな方々であった。私たちは多少なりとも自らを「招かれざる客」かな、との思いはあったが全くの杞憂であった。校長の取り組みで印象深いのは校長室に生徒の名前が記されたシートにカラフルなシールが貼ってあったことだ。尋ねると生徒が校長室にやってきて暗記してきたことを校長に向かって発表するとのことだ。暗記は英単語でも俳句でも年表でも何でも良いということであったが正直なところ驚きを禁じ得なかった。校長室の床に白線が引いてあってそこに立って発表するようである。この小学校はパワフルな女性の校長が率いる小さな小学校である。
このような教育をうけている生徒が塾に来る意味を改めて考えさせられた一日であった。
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