この夏に宝達志水町の中学3年生を対象に短期集中講座を東大セミナーで実施している。
学校に塾を入れることについて賛否両論があるようであるが町教育委員会の勇気ある決断に頭が下がる思いである。また、塾を開業してから35年経つがこの間の学校と塾の関係を考えると隔世の感がある。創業間もないころ高校入試問題を頂きに県教委を訪れたところ、高校時代の体育の恩師に遭遇し、半ば笑いながら辺りを見回し、「柳生君、あまり近づかないでくれ、君と一緒にいるところを誰かに見られるとまずい」というようなことを言われたのが懐かしく思い起こされる。端的に当時の学校と塾の関係を表していて興味深い。だが、この関係は今も根強く遺っているように思う。そのような風潮のなかで決断、実行されたのであるから宝達志水町の関係者には頭が下がるのである。
この間、細江教育長と何度かお話をする機会があった。そのたびに言われたことは「本町の生徒には周りの環境などのせいで学習に対する刺激が足りない」ということであった。学校の授業と塾の授業は当然違いがあり、どちらかの優劣ではなく、塾の授業が生徒に刺激を与え一層の学習動機の向上に繋がれば良いという考えである。人口減少が深刻な自治体にあって、人材の育成こそ重要な政策課題との思いがひしひしと伝わってきたものである。
「優秀な人材を育ててもこの町に戻ってこない」というような否定的な意見に対しても教育長は「たとえ戻らなくともこの町に何らかの貢献をしてもらえるような人材を育てられたらそれで良いのではないか」と明快であった。
生徒の刺激という点で、同町は刮目すべき取り組みを他にも展開している。それは、「ドラゴン桜」の監修者として知られる西岡壱誠氏(現役東大生)を迎え生徒・保護者の講演会を実施していることである。先日、保護者向けの講演会を同町で聴く機会に恵まれた。「偏差値35から東大へ」のキャッチフレーズは刺激的であるが、素晴らしい内容であった。「自分に限界線を設けるな!」という生徒一人ひとりがもつ可能性を信じよう、という趣旨であった。まさしく同町の目指す方向性に沿ったものであった。東大セミナーも全力を挙げて同町の付託に応える所存である。因みに宝達志水町は私がこの世に生を受けてから多感な中学2年生までを過ごした愛しい故郷(ふるさと)である。
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