今年は東大セミナーが開校して35年目にあたる。
開校した昭和61年(1986年)は
後年「バブル経済」の始まりの年として記録さる。
奇しくもこのような年に開校した訳であるが、
お陰様でよくここまで続けられたものと
感謝の気持ちで一杯である。
俗に波乱万丈を例えて「山あり谷あり」と
言われるがそれを正に地で行った感がある。
開校時の指導理念は
「高い目標を掲げて努力することの意義を説く」
であり、「社会に貢献する人材の育成」であった。
すなわち動機づけに力を入れる学習塾を目指していた。
指導形態は「集団一斉」形式であり
切磋琢磨を信条としていた。
どちらかと言うと既に「有能感」
(やれば出きる・為せば成る)を
持ち合わせている生徒が多かった。
合格実績は業界で上位を占め、
保護者の意識も高い方が多かった。
1990年代後半より指導形態として
「個別指導」が全国的に台頭してきた。
東大セミナーもちょうど2000年から
「東金沢校」から「個別指導」を導入した。
少し時間がかかったが
生徒・保護者の意識の変化もあってか
徐々に軌道に乗った。
しかし、それと同時に「集団一斉」の方に
陰りが見え始めた。
今にして思えば切り替え時期であり端境期であった。
3年ほど経営的に厳しい状態が続いた。
そこに訪れたのがあの
「リーマン・ショック」(2008年)であった。
世界的な不況につかの間のIT景気も
吹き飛んでしまった。
さすがに塾経営も大変かと思いきや、
不思議なことに東大セミナーはそれから10年
右肩上がりに伸びていった。
それまで慢性的に人材難だった東大セミナーに
優秀な人たちが次々に入社してくれた。
「一人の成長が会社の成長に直結する」
を合言葉に研修に力を入れたことも功を奏した。
しかし、良いことはいつまでも続かない。
消費者意識の変化、生徒人口の減少、
所得の伸び悩み、公立高校の定員割れ、
など塾業界のマイナス要因を数え上げたら
枚挙にいとまがない。
ある全国的な情報機関によると
塾業界はここ5年から3年にかけて
10%から20%売上がダウンしているようだ。
これまで売上げの増減は偏に
会社の個別の問題と捉えるようにしてきたが、
外部要因も影響していることに間違いはなく、
私たちは社会のニーズに
応えきれていないのではないかとの
疑念が澎湃としてわいてきた。
その一つが「自立学習」の確立である。
主体的な学びの姿勢の涵養は口で言うほど
簡単ではない。
随分と根気と時間のかかる仕事である。
知識を伝え目先のテストの点数を上げることで良い、
とする風潮がこの業界に
蔓延していなかったかどうか、
謙虚に振り返る必要がある。
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