皆さんこんにちは。東大セミナーの花房です。
「物理の勉強はしているけど、点数が思うように取れない!」「学校の授業はわかるけど、模試・テストでは点数が取れない…」「教科書を読んでもよく分からない」という状態ではありませんか?
物理は得意不得意(好き嫌い)が大きく分かれる科目です。ですが、物理の勉強の仕方が分かり、点数が取れるようになれば、物理は最も面白い学問の1つです!(物理専攻出身の偏見も入っていますが、間違いなく面白いです!)今回は、物理をできるようになりたいと思っている皆さんに向けて、「物理の勉強法」についてお伝えします!
目次
物理の勉強法に入る前に大前提を押さえておきます。この記事を読んでくださっている方の多くは、高校生や大学受験を志している方だと思います。物理に限った話ではありませんが、以下の勉強法はN Gです。
「テキストを1ページから順に進め、完璧に理解するまでじっくりと取り組む。」
1ページから順に進めることは間違ってはいませんが、「完璧に理解」しようとすることは絶対にやめましょう!1回目の実施タイミングで全ての内容を完全に理解する必要は全くありません。高校生の今、中学生の「関数」の問題を学び直してみてください(イメージでも大丈夫です)。中学生の当時、あんなに難しかった問題が、解説を見てもよく分からなかった問題が、少なくとも解説を見れば簡単に理解できるようになっていませんか?初めて学ぶ際に理解できなかった内容でも、その学問(単元)を一通り勉強し終えた後に、もう一度学習をすると理解できることはたくさんあります。受験勉強では、「今」理解しなくても「入試まで」に理解できればO Kです。むしろ、「今」の理解に固執し、学習スピードが落ち、入試に間に合わないことを絶対に避けなければなりません。「分かるまで先に進まない」勉強法からは卒業しましょう!
点数が取れるようになるための物理のポイントは、ずばり「図を書く」です!「なんだそんなことか」と思った人も、もう少しお付き合いください。「図を書く」ことが重要である理由は、そもそも物理学がどのような学問であるかが関係してきます。
皆さんは【物理学】とは、どのような学問かご存知ですか?物理学とは、自然界で起こる現象をできるだけ簡単で普遍的に説明しようという学問です。普遍的とは、ひとつの見方が、非常に広い範囲の自然現象にあてはまる、ということです。例えば、地球においてりんごが木から落ちることと、宇宙の星々の運動が同じ見方(考え)で説明できるのではないかと考えるのが物理学です。
大学受験に向けて勉強している皆さんに知って欲しいのは、物理学とは「自然現象を説明する学問」であるということです。決して、公式を使って計算をする学問ではありません。物理において最も重要視しなくてはいけないことは「現象の理解」であり、問題となっている現象がどのような現象かを理解するためには、「現象を図示する(説明する)」力が必要です。
ここまで読んでくださった皆さんならもうお分かりかと思いますが、物理の勉強をする際は、「問題となっている現象はどのような現象なのか」と考えながら「図を書く」ようにしましょう。目的意識を持つことで、勉強の効率は大きく向上します。
とはいえども、「図の書き方がわからない」という方もいると思います。そんな方(そうでない方も是非!)は、次の「2.参考書を使って現象をイメージしよう!」を読んで参考にしてください!
本項目では、現象の図示を実践するためのポイントを確認します。 高校物理には大きく5つの単元があります。
力学は、比較的イメージのしやすい分野であり、自身で図示しながら現象を理解しやすい分野です。熱力学や電磁気学は、力学と比べるとスケールの小さい(対象物が小さく目に見えない)分野でイメージがしにくいです。そこで頼りになるのが「参考書」です!現象の理解、イメージに重点をおいたテキストは書店にたくさん並んでいます。パラパラと中身を見て、図が多い参考書は現象の理解に力を入れているテキストであることが多いです。このような参考書を用いて、現象の理解に努めましょう。初めは、テキストの図を写すだけでもO Kです!「どのテキストを使えばいいか分からない」という人は、「5.勉強の手順」を参考にしてみてください。
以下の3つポイント押さえて物理の勉強を進めましょう!
問題を読んだら、まずは現象理解のために図示しましょう。図示する際は以下の点に注意です!
・誰が見てもわかるように書く
物理の根本は「普遍的に説明する」ことですから、誰が見てもわかるように心がけることが大切です。自身の字のサイズの1.5倍〜2倍のサイズで書くと、見やすい図になります!1ヶ月後の自分が見ても理解できる図を心がけましょう。
・力、速度などを書き込む
何がわかっていて、何がわかっていないのかを明確にすることは現象の理解の第一歩です。物体にはたらく力や物体の速度、加速度など、図に登場する物体に関してわかっていることは図に書きこむようにしましょう。
計算をする際は、「単位」も一緒に書くようにしましょう。特に、文字にも単位があることを忘れないでください。単位を意識することは、数字や文字の物理的意味を把握することに直結し、現象を理解するために大きく役立ちます。以下に具体例を示します。やや複雑になりますので、読み飛ばしても大丈夫です。
例)
質量m [kg]の物体が、地上から高さh [m]の地点において、速度v [m/s]で運動している。重力加速度をg [m/s2]とする。
このような状況に対して、m + hという量を考えることはナンセンスですね。単位を一緒に書けばm [kg] + h [m] となり、質量と長さを足していることが明確に分かり、これは明らかにおかしいことが分かりますね。一方でmv2 + mgh という量はどうでしょうか。単位を一緒に書くと
mv2 [kg・m2/s2]+ mgh [kg・m/s2・m]=mv2 [kg・m2/s2]+ mgh [kg・m2/s2]
となり、単位が揃っているため、mv2 + mgh という量は物理的な意味を持つと推測できます。ちなみに[kg・m2/s2]という単位は、エネルギーの単位である[J]と等しいです(運動エネルギー、位置エネルギーで覚えている!という方も多いかと思いますが、実はこのような背景があったのです!)。単位を一緒に書くことで、自身が何について考えている(計算している)のか、文字の掛け忘れなどを確認することができます。
公式の暗記は非常に危険です。自然界で起こる現象をできるだけ簡単で普遍的に説明したものが公式です。公式はどこからか湧いたものでも、急に空から降ってきたものでもありません。物理学者たちが現象を図示し、考え、ときに実験をして証明し導き出した式が公式です。
公式には物理的な意味があります。公式に現れる文字の単位に注目し、その公式がどのような現象を表しているのかを理解するようにしましょう。既に述べている「現象を図示する」や「参考書を使った勉強法」と同じように勉強をすると良いでしょう。
公式の意味を考えることで身につく力は、入試にて初見の問題に対して考える力になります。意味を考える=図示をする、を意識的に実践してみてください。
ここまでの内容を踏まえ、「問題演習はあまりいらないの?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論から言うと、問題演習は必要です。問題演習の量を取らないとテストで点数をとることは難しいでしょう。ただし、ただ問題を解いても点数は伸びません。問題演習の量を増やす目的は、「現象のストックを増やす」ことです。現象理解こそが物理の根本です。様々な現象と出会い、図示しながら現象理解をすることが点数向上につながります。「様々な現象と出会う」=「多くの問題を解く」です!問題演習では、現象理解を重視しましょう。公式の意味が理解できていれば、現象を理解することでどの公式を使うべきかが自然とわかるようになります。
本項目では、実際のテキストを例にして、物理の勉強方法をお伝えします。0~4の項目で知った、物理を勉強するための「考え方」「ポイント」を意識して、以下を参考に勉強をしてみてください!
※推奨期間は目安です。取り組み始めがこの期間より遅い場合でも、ステップを飛ばさないでください。「何が何でも追いつくぞ」と学習量でカバーしましょう。
おススメ参考書
・大学入試 漆原晃の物理基礎・物理[力学・熱力学編]が面白いほどわかる本
・大学入試 漆原晃の物理基礎・物理[電磁気編]が面白いほどわかる本
・大学入試 漆原晃の物理基礎・物理[波動・原子編]が面白いほどわかる本
推奨期間:受験勉強開始前(高2~、遅くても高3春)
漆原晃の物理基礎・物理[~]が面白いほどわかる本、の最大の特徴は「図」です。
問題を解く際に「自力で図示できない」という人は、まずこのテキストを使ってみましょう。「この問題(現象)ではこういう図を描くんだ」ということを知ることも大切な勉強です。問題を解きやすい図示の仕方を学ぶことで、②以降の勉強が進めやすくなります。問題を解くのに適切な図を描けるようになることは、物理で点数を取れるようになる第一歩です!
おススメ参考書
推奨期間:受験勉強初期(遅くても7月~8月)
「物理のエッセンス」は全受験生に使ってほしいテキストです(誇張無し)。「テストで解けない」は、勉強を始めた受験生が共通してぶつかる最初の壁です。本テキストの特徴は「感覚」と「コツ」です。教科書の内容のさらに手前にある「物理的な感覚」と、教科書と入試問題集の間にある「入試を解くためのコツ」を身につけるのに最適のテキストです。入試問題集をやる前に必ずやってほしいテキストです。普段は解けるけど、「テストで解けない」という人は【必ず】使ってほしいテキストです。この内容を修得できていない人が、どれだけ問題を解いても点数は上がりません。難易度が高いわけではないので2週間~1か月で1周はできます。注意点は、あくまで「感覚」と「コツ」の習得に適したテキストなので、これだけでは完成しません。物理のエッセンスが終わったら、③で述べる入試演習用テキストで演習を積み重ねましょう!
おススメ参考書
・良問の風
推奨期間:物理のエッセンス終了後(夏休み~11月)
②まで終わった人は、後は問題演習量を増やしましょう。良問の風は、入試演習用に採用している高校も多いですね。最難関大学を除けば、この1冊を完璧に解けるようになれば十分です。物理のエッセンスで学んだことを実践し、「テストで解ける」ようになりましょう。繰り返し演習をしてください。
おススメ参考書
推奨期間:9月~11月、共通テスト後
良問の風がスラスラ解けるようになっていて、かつ最難関大を受験する人は名門の森、重要問題集といった問題集を実施しましょう。良問の風では、最難関大学の入試はカバーできません。「私はやったほうがいいのかな」と悩む人もいると思います。良問の風を一通りやったあと、一度赤本で志望大学の過去問を演習してみましょう。また、〇〇大オープン模試などを受けている人は、模試の問題を解き直してみましょう。解ける問題が増えていたり、良問の風をやり込めば解けそうな感触があったりする場合は良問の風を繰り返し実施することを推奨します。そうでない場合は、上記テキストを使ってさらに発展的な問題演習を重ねましょう。
いかがでしたか?物理学の本質から勉強法を考えました。高校で学習する内容は、各学問の基礎です。それぞれの学問がどのような学問であるのかを知ることで、効果的な勉強法を知ることができるでしょう。それは決して「暗記」だけの勉強に依るものではないはずです。
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