田坂広志さんの「能力を磨く」
-AI時代に活躍する人材「3つの能力」―
を読んだ。
田坂さんは私と同じ1951年生まれで
著作や講演などを通して幅広く活躍する人である。
その活動はシンクタンク研究員、大学教授、
政府機関委員長など
多岐にわたり私などは常々
多大な影響を受けてきた人物の1人である。
以前に紹介したアメリカのサンタフェ研究所の
「カオスの縁」という考え方を知ったのも
田坂さんの著書によってであった。
この考え方で一見二項対立する物事の
とらえ方に私の中で覚醒的な変化が起きた。
それは「生命的な現象は秩序(オーダー)と
混沌(カオス)の交わるところで起きる」
というもので、
激動する現実(古いものと新しいものの相克など)
をどう受け止めるか迷うとき一条の光明となった
考え方であった。
その田坂さんが近著で
台頭するAI時代の本質と対応について
分かりやすく解説してくれた。
田坂さんによると
「能力を磨く」ことの必要性は
第1に能力の急速な陳腐化、
第2に学歴社会の崩壊、
第3にAI時代の到来にある、という。
第1は時代の変化が激しく一度身に着けた能力で
人生100年時代を生きることはできない。
第2は高度知識社会にあって現教育制度の下で
生まれてく「高学歴」人材は必ずしも仕事において
優れた能力を発揮する人材ではなくなってきている。
この社会にあって活躍する人材は「イノベーション力」、
「ネットワーキング力」、「リーダーシップ力」があり
「学歴」に安住することなく
職業の現場に求められる高度な能力を身に着け、
磨いていかなければならいない。
それが「学力社会の崩壊」の意味であるとする。
第3はこれまで人間が担ってきた仕事の極めて多くが、
AIによって代替されていくことである。
田坂さんによると、現在の高度知識社会では、
誰にも「五つの能力」が求められる。
1つ目は「基礎的能力」で
知的集中力と知的持続力をいう。
2つ目は「学歴的能力」で
論理的思考力と知識の修得力をいう。
3つ目は「職業的能力」で
直感的判断力と智恵の体得力をいう。
4つ目は「対人的能力」で
コミュニケーション力とホスピタリティ力をいう。
5つ目は「組織的能力」で
マネージメント力とリーダーシップ力だという。
この5つの能力の中でAIが最も得意とするのは
1つ目と2つ目であることは
田坂さんならずとも衆目の一致するところであろう。
「論理に強い」だけでは、AIに淘汰されてしまう、
「物知り」や「博識」、「博覧強記」という言葉は
死語になっていくという言葉で象徴的に語られている。
それならば私たちは
残りの3つの能力を磨いていかざるをえない。
「職業的能力」、「対人的能力」、「組織的能力」
の3つである。
この3つの能力の磨き方については
ぜひ田坂さんの著書で研鑽していただきたい。
分かりやすく具体的に書かれている。
Copyright ©金沢市・野々市市・白山市の塾なら東大セミナー All Rights Reserved.