こんにちは! 東進衛星予備校金沢南校の泉です。
現在、高校生や、また中学生である皆さんが大学を卒業したときの状況は違っているかもしれませんが、今年から大学生の就職活動の開始時期、つまり企業が採用を開始する時期がこれまでより少し遅くなりました。
今までは学部3年生の12月にスタートしていた会社説明会が3月からの開始となり、面接は4年生4月から8月になったのです。
「大学生は学業を優先すべき」といった政府要請に、経団連が応えるかたちで就職活動時期の繰り下げが決定されました。
その初めての年が今年、つまり2016年卒の今の大学3年生に当たります(ただしこれが現実的に守られているかどうかはすでに微妙なところではあるようですが・・・)。
景気も回復し、企業の採用も活発化して、いわゆる就活生が優位な「売り手市場」と呼ばれる状況になりつつありますが、日経新聞のWeb版の調査(『売り手市場なのに復活する「学歴フィルター」』 2/26)の結果では以下のような傾向が見られるようです。
企業の採用活動のスタートが例年より遅くなるとそれだけ採用にかける期間が狭まります。そうすると企業としては短期間でできるだけ優秀な人材を確保しようとするため、上位大学に絞って会社説明会を実施するような傾向が現れているようです。
会社説明会は複数企業が大きな会場で行う「合同説明会」の形と、大学を会場として行う「学内説明会」に大別することができます(会社単独で行う説明会もありますが、ここでは置いておきます)。
企業側としてはどうやら、レベルの違う様々な大学の学生が訪れる合同説明会より、取りたいと思う大学(=ターゲット校)の学生だけを相手にする学内説明会を重視する傾向にあるようです。
その際の大学の具体的なレベルの境界線はMARCH(明治、青学、立教、中央、法政)クラスで一旦引かれ、その後、①その一段上に設定し直す企業(早稲田、慶応、国公立大)、②MARCHは競争率が激しいが日東駒専より上は取りたい「準MARCH」狙い(明治学院大、東京理科大、東京外大、北里大(医療系以外)など)、③意識の高さから地方大学を狙う、というような3パターンに分かれると報じています。
同じく日経新聞のWeb版の少し前の報道では具体的に企業にアンケートを取り、人気大学の結果を掲載しています(『1位京大、思考力に評価 人事が選ぶ大学ランキング 』2014/6/16)。
「対人力」や「知力・学力」「独創性」など5項目でアンケートを取った結果、2位以下を大きく突き放して1位となったのは京都大学、次いで2位.神戸大学、3位.大阪市立大学、4位.筑波大学、5位.一橋大学、6位.徳島大学、7位.早稲田大学、8位.慶應義塾大学、9位.九州大学、10位.名古屋大学となっています。
上記の③を裏付けるように必ずしも関東の大学一極集中となっているとは言えませんね。ちなみにランキングには入っていませんが、金沢工業大学が就職支援に熱心に取り組んでいるとして高い評価を得たそうです。
さて、このように「売り手市場」といえども企業のニーズから学歴フィルターが強まる兆しがあるということですが、だからといって就職に強い大学に進学することが全てだとは思えません。
これら報道で発表される傾向やランキングはあくまで総合的な結果であり、統計の数値です。
当然ですが、大手企業と一口で言っても様々な業界の企業があります。その中には自分がまったく興味関心のない企業も含まれているでしょう。
そして、いわゆる大手や東京といった所で本当に自分が働きたいのか? という問いかけもありえるはずです。
確かに様々な業界から引く手数多な大学であるということはそれだけ選択肢の幅が広がります。その強みは確かに存在します。
しかし、自分が本当に何をやりたいのかを見定めずに就職してしまった結果は必ずしもいい結果を生むとは限りません。
厚生労働省の発表によれば平成23年3月卒業の大卒者の3年後離職率は32.4%となっています。つまり、10人に3人は新卒で入った会社を辞めています。
その主な原因は、思っていた仕事の内容と違ったなどのいわゆる「雇用のミスマッチ」が離職の原因となっています。離職率が低い企業は必ずしも大手や知名度のある企業ばかりではありません。
「大学に入ってから将来のことを考えればいい。そのためになるべくいい大学に入らなければ」という思考方法はやはりオススメできません。
勉強のスタートを早めるのと同じように、自分の将来について考えるのにも早すぎるということはありません。
ぜひ、自分の将来の夢や志についても考えながら勉強をしていってください。
Copyright ©金沢市・野々市市・白山市の塾なら東大セミナー All Rights Reserved.