予備校界で永らく古文のマドンナとして活躍された荻野文子先生の受験生に向けた色紙に「あきらめない・あせらない・あなどらない」とあったのを今でもくっきり覚えている。
「あ」で始まる言葉でこれほど巧みに受験にあたっての心構えを表現したものをいまだに知らない。これらはどれも大事だが「あきらめない」が一層重要だと思う。あせってもいけない、あなどってもいけないけれど「あきらめ」たらそこでお終いだからだ。
いまテニスは全豪オープンがたけなわで錦織圭選手の活躍で話題になっているが、準々決勝のキム・クライシュテルス選手の最後まで「あきらめない」プレーに胸躍った。
中国のリー・ナ選手に第1セットをとられ第2セットのタイブレークで6‐2のマッチ・ポイントを握られながら見事に逆転した精神力(試合中に足首ねんざ)・攻撃力は見事なものだった。巷間、今シーズンをもって引退の噂がある中で「悔いのないシーズンにしたい」とのインタビューを聴いたが、まさに気持ちの入った執念のプレーであった。
受験に強い人とは、最後の一瞬まであきらめず、ベストをつくす人のことだと確信する。
これから本格的受験シーズンに突入するが、体調に万全を期し持てる力を十分に発揮してほしいものだ。それには生活のリズムをしっかり守り、最後まであきらめずに全力をつくすことが肝要だ。このことは単に受験に限らず、人生の要諦でもある。受験生諸君の健闘を祈る。
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