皆さんこんにちは。
石川県金沢市・野々市市・白山市の学習塾 東大セミナーの篠原です。
今回は、「美大の共通テストは鉛筆転がしとけばいい」は本当なのか?という疑問について、実際に地方公立美大を卒業した私がお答えしたいと思います。
「美大受験」というと「頭が良くても、絵が描けないと入れないところ」というイメージを持たれる方も多いかと思います。
例えば、こちらの動画には「東京芸大はセンター試験、鉛筆転がしても良いって言われるぐらい実技試験を重視する」という主旨の発言がされています。
このように、美大志望者の中には「なんとなく勉強は後回しでいい」というイメージを持つ方もいるのではないでしょうか?もしくは、「本当に勉強しなくて良いのかな〜?」と迷っている方もいるかもしれません。
今回の記事では、そんな悩める美大受験生をあるべき姿に導くべく、「美大受験生は本当に学科試験を捨てて鉛筆に運命をゆだねても良いのか」という疑問にお答えします。
目次
1.まず、志望大学の募集要項をちゃんと読もう!意外と共テの配点高い大学もあるぞ!
2.美大生の中で実際に共通テストを「鉛筆転がし」で乗り切った人はいるのか?
3.美大受験者数は少ないので、情報が錯綜しがち。信頼できる情報を見極めよう!
「美大受験で共通テストを受けなければならないけど、どれくらい勉強をすれば良いのだろう…」などと悩んでいる方は、まず志望校の募集要項を読んで、共通テストと実技試験の配点の比率を調べましょう。
出題方式や試験内容の変更がある場合、数年前から公式ホームページの受験生向けページで告知されていることもあります。
そして、一口に「美大」「芸大」と言われる大学・学部でも、共通テストと二次試験、それぞれの配点が異なります。
更に、各大学、専攻によっても共通テストで必要な受験科目も異なるのです。
例えば、愛知県立芸術大学美術学部油画専攻に出願する場合、共通テストは国語・英語と、地歴・公民・理科・数学いずれかから1科目、合計3科目を受験すれば出願資格が得られます。
しかし、京都市立芸術大学美術学部油画専攻に出願する場合は、国語・英語・社会1科目・理科1科目の合計4科目の受験が必要です。
共通テストと二次試験、それぞれの配点も比較しましょう。
愛知県立芸術大学美術学部油画専攻の場合、共通テスト3 科目を600 点に換算し、二次試験のデッサン1000点、油彩画1000点、合計2600点で競うことになります。
この場合、配点における二次試験の割合が高いため、「実技(二次)の対策を充実させなければ受からない(=勉強だけ頑張っても仕方ない)」と思われるかもしれません。
しかし、裏を返すと全体の配点のうち2割を共通テストの配点が占めているとも言えます。
共通テストを捨てて実技試験だけで勝負しようとすると、みんなが100点満点のテストを受けている中で、自分だけ80点満点のテストで勝負するようなものです。
ですので、時間が許す限りは共通テスト対策も並行して行う方が良いと思います。
一方、京都市立芸術大学の場合は、共通テスト4 教科 4 科目又は 5 科目合計 600 点を500点に換算し、実技試験の点数750点と合わせて合計1250点で勝負することになります。
この場合、共通テストの配点は全体の配点の4割近ほどを締めているので、やはり共通テスト対策もしっかりと行なった方が良いということになります。
このように、大学によって共通テストと二次試験の配点は異なりますので、自分が美大の受験対策をする上で「果たして本当に共通テストの勉強を捨てて、鉛筆を転がして勝負するか」は、しっかりと志望大学の配点を確認した上で検討することが良いでしょう。
「そんなこと言って本当は美大生の中にも“共通テスト鉛筆転がし”で乗り切った人、結構いるんじゃないの?」
このように疑問に思う方もいらっしゃると思います。
しかし、私も数年前に地方の公立美大に在籍していたのですが、「共通テスト(センター試験)鉛筆転がして乗り切りました!」と堂々とみんなに宣言する人には、あまり会ったことがありません。
クラスの中の一人二人は、「英語3割だったわ……」という子もいた気がします。
まぁ、「私共通テスト鉛筆転がして乗り切ったったで!」は、ちょっとした話のネタにはなるかもしれませんが、自分のアピールポイントになるかと言われれば、ならないですからね……。美大=個性的な人の集まり、なんなら「お絵描きのために遊びにいっている」みたいな目で見る人もいると思うんですが、私が卒業した金沢美術工芸大学は皆さん真面目でした。美大生は髪の毛ピンク色でも根が真面目なんだと思います。
今思い返すと、クラスの3分の1ぐらいは地元で有名な進学校出身の子だったように思うんです。富山県だったら富山中部高校、滋賀県だったら彦根東高校とか、賢い人もそれなりの割合でいたように思います。
因みに私は、平均点よりちょっと良いぐらいの点数をとりました。
「共通テスト英・国と1科目勉強するぐらいなんてことない」という賢い人との戦いになるのは必至なので、「学科捨てて自分の画力だけで勝負する」という戦略は安易に取らない方が良いのではないでしょうか。
「美大は勉強しなくても受かる」という話もある一方で、私は受験生のころ、美大受験の予備校の先生から「5〜6割はとった方が良い」と言われました。
美大受験の難しいところは、一般の大学よりも受験生が少ない分、受験情報が曖昧で錯綜しがちなところだと思います。
それは学科試験の話だけではなく、実技試験においても同じだと思います。
一般の大学みたいに、全国模試で自分の立ち位置を知ることもできません。
自分が手に入れた情報がどれくらい信頼できるか、見極めて戦略を立てる力が必要になってくるのだと思います。
色々な考えがありますので、美大受験をどう乗り切るかもその人その人で納得のいく選択をすれば良いと思います。
ただ、私は学科試験を「鉛筆転がし」にゆだねた全員が、希望する美大に合格できるわけではないと思うので、よほど勉強が嫌いな人ではなければ、美大受験生も学科試験の対策を行った方が良いと思いました。
学科試験の対策を行うメリットは三つあります。
勉強を「試験に受かるために嫌々仕方なくやるもの」と捉えると、つまらないものになってしまいますが、「自分の視野や見識を広げ、人生を豊かにするために取り組んでいる」と考えると、多少前向きに勉強できるのではないでしょうか。
とはいえ、「逆立ちしても英語なんかできっこないよ~」という大の英語嫌いな人が、「あと半年で共通テスト」という状況で英語の勉強を始める、というのもひょっとしたら効率が悪いのかもしれません。
この記事が美大受験生のご参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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