皆さんこんにちは。東大セミナーの篠原です。
今月のおススメ本は”僕は「脱北YouTuber」~北朝鮮から命がけで日本に来た男”です。
著者:キム・ヨセフ
出版社: 光文社
価格(税込):1,540円
目次
本書のタイトルの通り、著者は北朝鮮に生まれ、脱北して韓国に渡ったのち、来日しました。私は本書が出版される前から、著者のYoutube動画を見ていました(著者のYoutubeチャンネルはこちら)。
このYoutubeチャンネルを知ることになったきっかけは、2020年に大ヒットしたドラマ「愛の不時着」です。「愛の不時着」は北朝鮮の軍人と韓国の令嬢との恋愛ドラマですが、このドラマを見ているうちに「ここで描かれている北朝鮮は、本当にこのようなところなのだろうか」という興味が湧き、北朝鮮のことを色々と調べているうちに、著者のYoutubeチャンネルに辿り着きました。「脱北者」と「Youtuber」という、これまで聞いたことのなかった「まさか」と思える言葉の掛け合わせに驚きました。
「脱北」というと、壮絶な苦難であるということは、ほとんどの方がイメージされるかと思います。
特に印象深いのは、2度目の脱北を果たし、中国に入国したときの著者の心境です。中国では、許可なく北朝鮮から中国に入国した人びとを経済移民とみなし、脱北者とわかると北朝鮮に強制送還します。つまり、はるばる国境を越えて北朝鮮から中国に入国できたとしても、脱北者であることがバレたら、北朝鮮に送還され、厳しい処罰を受けなければなりません。
いつどこで自分が捕まるかわからない。そんなプレッシャーの中、著者のキムさんはやり場のない不安や恐怖を静めるため、常に何かに対して必死で祈っていました。「今晩も何事もなく平安に過ごせるようにしてください」と。
人間は大きな不安や恐怖に直面した時に、目に見えないものに祈ることで救われるのだと思います。祈ることで現実に直面した課題を解決してくれる訳ではないが、祈ることで多少なりとも自身の不安・恐怖を和らげ、困難な状況を切り開く力になるのだと、このエピソードを通して思いました。
著者は、自分の人生観についてこう述べています。
人はいずれ死ぬ。
明日、交通事故や天災に遭うかもしれないし、あるいはこの先100歳まで生きるかもしれないが、いずれにしろ死を免れることなどできない。
だから、自分の信念のとおりに生きることが最も重要だと考えている。
人を傷つけたり、反社会的なことをしない限り、それぞれの個性を生かし、やりたいことをなんらかの形でやって生きていくのが人間の望ましいあり方だと思う。
北朝鮮で生まれ、多くの苦難を経て今に至る著者だからこそ実感を込めて言えることではないでしょうか。
本書を通して、著者の逞しい生き方や人生観から学べることは多くあるでしょう。
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