皆さんこんにちは。
石川県金沢市・野々市市・白山市の学習塾 東大セミナーの堀越です。
今回は、東京工業大学の入試の仕組みについてお伝えします。
目次
まず、東京工業大学がどのような大学なのか、よくご存じでない方のためにお伝えしておきます。
東京工業大学は略して「東工大」とも呼ばれる、その名が示す通り理工系のみが設置された総合大学です。東工大は東京大学・京都大学・一橋大学と合わせて「東京一工」とカテゴライズされることもあり、日本トップクラスに位置しています。また大学の学部と大学院を一本化した「学院」を日本で初めて設置した大学としても知られ、他に類を見ない研究環境のある大学と言えます。理系生徒が目指す最高峰の大学の一つといって差し支えないでしょう。
しかし、当然ながらその入試はそれ相応に難しく、さらに他の国公立大学と大きく異なる特徴もあります。必要になってくる対策も変わってきますから、東京工業大学を目指している、絶対に合格したい!という人は、ここで入試の特徴を把握してぜひ受験勉強に生かしてください。
東京工業大学の大きな特徴その1が、「共通テストの配点が0点」だということです。通常の国公立大学は、全国の受験生がほぼ必ず受験する「大学入学共通テスト」と、大学独自で作成した問題に解答する「二次試験」の2つの試験を受験し、合否を判定します。大学によって共通テストと二次試験の配点に傾斜をつけるなど、どちらを重視するかは分かれてきますが、共通テストの配点が0点という国立大学は他にはほぼありません(2022年1月現在、他には長崎大学水産学部のみです)。
では、東工大の志望者は共通テストを受けなくてもいいのか、と言うとそんなことはありません。東工大では、「二段階選抜」という選抜方法が採用されています。
通常の国公立大学入試においては、最初に述べた通り「共通テストと二次試験の合計得点」で合否を判定します。合計得点で合否を判定するということはつまり、極端な話で言えば、共通テストで0点に近い得点だったとしても、二次試験で満点近く取ることで合格最低点を上回れば合格となるのが大学入試です(実際にはそのような例はほぼ無い訳ですが……)。
しかし東京工業大学は違います。先に行われる大学入学共通テストにおいて、大学が設定したボーダーを上回れなかった場合、出願をしても二次試験を受験することができないのです。これが「二段階選抜」です。いわゆる「足切り」と言われる選抜方法で、東工大以外でも東大や京大、各大学の医学部医学科など、主に入試難易度の高い大学・学部で採用されることが多いです。解答難易度が高い入試は採点の難易度も高いため、採点対象を絞るために一定水準以下の受験生を選り分けることがあるのです。
まとめると、東京工業大学の入試においては、大学が設定する最低限のボーダーを超えてさえいれば、共通テストの得点は合否には影響しません。逆に言えば二次試験の得点で合否がすべて決まるということなので、二次試験の対策が他の大学と比べても非常に重要になります。二次試験の特徴についてはこの記事の後半でお伝えしていきます。
そうなると気になるのが、東京工業大学が設定している選抜のボーダーがどこなのか、ということです。東京工業大学の募集要項では、下記のような記載があります。
共通テストの成績をもとに2段階選抜を行います。
全学院の志願者数が募集人員計の4倍を超えた場合、本学が指定する5教科7科目の成績(得点合計)により第1段階選抜を行うことがあります。
二段階選抜には基本的に、共通テストの得点でボーダーを引く形式と、志願者数と倍率でボーダーを引く形式の2つのパターンがあります。東京工業大学は上記の通り、後者の倍率によるボーダーを設けています。
※以前までは「センター試験950点満点のうち、600点未満の場合は第1段階不合格とする」という前者の得点によるボーダーでしたが、2021年度入試から基準が変更になっています。
東京工業大学の選抜ボーダーは「募集人員の4倍」とあります。例えば工学院の場合、2021年度入試での一般選抜前期募集人数は314人でした。その4倍ですので、志願者数が1256人までの場合は、第1段階選抜は実施されません。そこで仮に1300人の出願があったとすると、そのうち共通テストの得点下位44人が第1段階選抜により脱落するということになります。
実際の東京工業大学工学院の2021年度入試では、志願者数が1238人と4倍を下回ったため2段階選抜は実施されませんでしたが、今後2段階選抜が毎年実施される可能性は十分あります。倍率によるボーダーの場合は他の志願者の得点によってボーダー突破に必要な得点が変わってくるので、共通テスト後の合否判定システムを上手く活用して自分がボーダーに対してどの位置にいるかをなるべく正確に把握することが重要です。
次に、東京工業大学の二次試験の特徴です。東工大は全ての学院で同じ科目・問題が出題され、それは「英語」「数学」「物理」「化学」です。これらの組み合わせ自体は他の難関大学の理系学部でもよく見られるオーソドックスな科目と言えますが、中身はかなり特徴的です。その最たるものが「試験時間」でしょう。
下の、金沢大学及び東京大学と、東京工業大学の試験時間を比較した表を見てください。
※1金沢大学の場合、理科2科目を課すのは医薬保健学域/医学類及び薬学類・創薬科学類のみ。
※2東京大学と金沢大学は理科2科目の試験を連続で行うため、実際にはそれぞれ合計150分・120分の試験時間が設けられる。
東京大学の場合はここに国語の試験が加わりますが、この英・数・物・化だけで見ると、東工大の圧倒的な試験時間の長さが分かるでしょう。数学は驚異の3時間、理科も2科目合わせて4時間の試験時間が設けられています。英語も合わせて、合計試験時間は8時間半にも及びます。このうち数学と英語を1日目、理科2科目を2日目に分けて東工大の二次試験は実施されます。
では試験時間が長い分、問題数も多いのかと言うと、必ずしもそういうわけでもありません。例えば数学においては、180分の試験時間を誇る東工大入試では大問が5つあるのに対して、試験時間150分の東大入試は大問が6つと、むしろ問題数は東大入試の方が多いのです。物理と化学は東大・東工大共に大問数は3つですが、解答すべき小問数はどちらも東大の方が多いです。これは、当然ながら東工大よりも東大の入試の方が難易度が高いということもありますが、じっくり腰を据えて解くべき問題が多いということも意味します。特に数学は他に類を見ない試験時間の長さですので、最後まで集中して問題に取り組むためには、日頃から長時間集中して勉強する習慣をつけておかなければなりません。
唯一標準的な試験時間と言える英語でも、侮ることはできません。東工大の英語は例年大問二つの構成で、どちらも長文読解に分類される問題形式です。そのうち大問1は文章量が1500語~2000語という「超長文」になっており、試験時間が標準的だからこそ並外れた速読力が要求される試験と言えます。各小問も内容理解問題から和文英訳問題まで幅広い英語の力が試されるため、理系大学だからと数学・理科にばかり勉強時間を割いていると、大きく点数を崩してしまうことも予想されます。英語力は一朝一夕では身につきませんから、なるべく早いうちから勉強に取り組むようにしましょう。
いかがでしたでしょうか?理系最高峰の大学として名高い東京工業大学。そこを目指すうえで必須となる情報についてお伝えしてきました。入試問題の難易度・独特さもさることながら、入試の形式においても一風変わった部分を持つ東工大を目指すのであれば、入試対策も他の大学を目指すのとは大きく変わってきます。
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