皆さんこんにちは。東大セミナーの篠原です。
今月おススメする本は“はじめての哲学的思考”です。
目次
著者名:苫野 一徳
出版社:筑摩書房
価格(税込):924円
哲学は究極の思考法である。
この本は、そんな書き出しから始まっています。哲学とは、2500年以上の長きにわたって人類がさまざまな問題を考えるために、とことん磨きぬいてきた知の結晶。どうすれば幸せになれるのか?生きる意味とは何か?そんなさまざまな問題に、絶対の正解ではないけれども答えを導きだしてきたのが哲学です。
とはいえ、「哲学」と言われてもなんだかよくわからない、難しいものだと思う方も多いのではないでしょうか。そんな難しいことは自分には関係ないと思う方もいらっしゃることでしょう。しかしながら、現代に生きる私たちも日々、何故人と人は分かり合えないのか?何故いじめはなくならないのか?などの哲学的な問題に突き当たり、悶々としながら過ごしていることも事実です。そして、そういった問いへの答えはただやみくもに考えているだけでは導くことができません。こういった問題には考え方のコツがあり、考え方のコツは哲学の中に沢山あるのです。本書では、そんな哲学的思考の奥義について読者にわかりやすく伝えられています。
より本書に興味を持っていただくべく、前の項で挙げた哲学的思考の奥義について、私なりにご紹介いたします。
あなたは「一万粒からなる砂のかたまりは、”砂山”か、否か?」と聞かれたらどう答えますか?アリにとっては砂山かもしれないし、ゾウにとってはただの砂かもしれませんね。だから、何万粒からが砂山で、何万粒以下は砂山じゃないという定義はできないのです。時にはそういった答えの出しようのない「ニセ問題」が出されます。ニセ問題にぶち当たったときは、問の立て方を適切に変えるべきです。例えば「人が砂のかたまりを”砂山だ”と感じるのはどのようなときか」というようにです。こうすることで、建設的な議論ができるようになります。
自分が今見ているこの世界が、実は自分の夢かもしれない。カラスが黒色に見えるのだって、それは人間だけのことかもしれない。飛んでいる矢が移動するという当たり前のことも、「今この瞬間」から見れば「止まって見える」ということだってできる。一見当たり前だと認識していることも、言葉の上では全てを疑うことができます。けれど、私たちに今何かがを「見えてしまっている」、「聞こえてしまっている」という意識は疑いようがないですよね。
以上二点、私なりに哲学の考え方で大事だと思った部分をご紹介したのですが、いかがでしたでしょうか?おそらく、すごくざっくりとした説明なので「どういうことだ・・・?」と思われた方もいらっしゃることでしょう。本書では、著者から読者へ語りかけられるような文体で、哲学的思考というものについて、一つ一つかみ砕いて書かれています。ですので、本書をお読みいただければ、ここで私がお伝えした「哲学の奥義」について、深くご理解いただけると思います。そして、そういった哲学的思考を自分のものにすれば、「なんのために人は生きているのか?」とか、「人と人は何故争いが絶えないのか?」という哲学的な問題から、「なぜ人を殺してはいけないのか?」というちょっと深刻な疑問に対しても、自分なりに答えを出すことができるのではないでしょうか。是非、お子さま、保護者様ともにご一読いただければ幸いです。
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